Vol.1「森の健康診断」

蔵治光一郎+洲崎燈子+丹羽健司 編 
         (築地書館)¥2000+税

森林ボランティアという集団が各地に出現している。その中の一つに矢森協(やもりきょう)、「矢作川水系森林ボランティア協議会」がある。喋りたがりのオヤジたちが、ぎこちない腰つきでチェーンソーを構える様は数多ある森林ボランティアと何ら変わりなく見える。伐倒というリスキーな趣味に入れ込まずとも快適な時間の過ごし方があるだろうに、間伐後の人工林で風に吹かれる心地よさを知ってしまった彼らは、今度の週末も薄暗い人工林に足を運ぶのだろう。

 筆者が知っている矢森協のメンバーは少ない。その数少ないオヤジたちが皆かなり曲者である。そのかなり曲者たちが(ここが肝心なのだが)、実に謙虚なのである。自信があるというか、信念に揺らぎがないというか、大人なのである。「矢作川水系森林ボランティア宣言」をご存じだろうか。こっ恥ずかしい気がしないでもないが、少ない文字数の中に「私は誰」で、「何のため」に、「誰と」「何を」したいのかが宣言されている。

 なかなか本の紹介にたどり着けない。(^^;)

つまり「森の健康診断」という活動は、蔵治光一郎さんや洲崎燈子さんはじめ多くの方々の東奔西走のタマモノなのだが、やはり矢森協ならではと感じるのである。曲者オヤジたち(女性のメンバーがわからないもので・・・)が編み出した新展開「森の健康診断」は、使えるツールだ!各地でアレンジされながら全国に普及することを期待したい。



健康診断や矢森協を育んだ矢作川水系には、30年以上水と向き合った活動があるそうだ。紆余曲折は当然としても、連綿と続けることは容易ではない。水と向きあい続けた目が山を視野に入れた時、これまでにない人と空間が新しい流れを育もうとしている。曲者オヤジや学者や家族連れや学生たちが喜々として森に入り、膨大なデータを集め始めた。悲壮感も使命感も感じられず、しかし無責任でない。筆者が森林ボランティアに期待してきたことの一例がココにある。



とにかく、近所の山でやってみたくなる。かなりいろんなコトが勉強できそうである。常に水系を軸にしていることがミソだ。各地で「何ができるか?」と腕組みしている人がいたら紹介してあげよう。素人と学者が本気で取り組むと時代が面白くなる。行政も乗り遅れないように重い腰を上げてほしい。CSRの連携を考える企業にもお勧めだ。森林(人工林)が抱える危機的状況は、多くが手を取り合って力を合わせなければ越えられないだろう。林業のプロとして、ボランティアとして、学者として、行政として、企業として、最大限の効果を発揮できるように、刺激しあいたくなる一冊だった。


(Woodsman Workshop 水野雅夫)



Vol.2「森づくりの明暗」