こんにちは。Mr.さわぐるみです。
 前回に引き続き、光合成に影響を及ぼすいろいろな環境条件のお話です。

15.光合成(9)

2. 
水は炭水化物の材料として光合成に必要な物質ですが、そればかりでなく、光合成の化学反応は細胞内に充分な水がないとスムーズに進みません。さらに以前(森のコラム10)お話ししたように、体内の水分が不足すると植物は気孔を閉じてしまうので、CO2の取り込みができなくなって光合成が阻害されます(脱線1)。このように、水の確保は光合成に必要な環境を整えるという点でも不可欠なものです。


3. CO2
光も水も充分にある場所で生育する植物でも、その能力の最大値まで光合成をすることはできません。先程の水の場合とは逆に、気孔のわずかな隙間からしかCO2を取り込めない事が光合成の効率にも影響しています。実験的にCO2濃度を普通の大気(300ppm程度)よりも多めにすると、多くの植物では光合成量が増えることが知られています。現在増えすぎて問題になっている空気中のCO2濃度も、実は植物にとってはまだ足りないんです(脱線2)。 ビニールハウスで作物を栽培するときは「CO2施肥」といって、収穫を増やす為にわざわざ火を炊いてCO2濃度を上げることもあるそうです。


4. 無機養分
窒素は植物の体を作るタンパク質の原料として欠かせない養分ですが、葉で光合成反応を行う酵素タンパク質の材料としても欠かせません。この酵素タンパク質(暗反応でCO2を固定する酵素で、ルビスコとかRUBPカルボキシラーゼとか呼ばれています)が、葉に含まれる全てのタンパク質の40%以上を占めている場合もあるそうで、いかに多くの窒素が光合成に必要かがうかがえますね。他にもマグネシウム(Mg)はクロロフィル色素の重要な成分ですし、無機養分が不足すると、他の条件がどんなに良くても効率よく光合成を行うことができません。


5. 温度
光合成の反応は化学反応なので(森のコラム9)、温度が低すぎる場合は反応が鈍ってしまいます。一方、暖かい場所では光合成反応は盛んになるのですが、一方で呼吸も活発になってしまう(食料を無駄に消費してしまうようなものですね)ので、結果的に生産力(純光合成量)は伸びません。暑すぎても寒すぎても駄目で、光合成に最適な温度の範囲があります(脱線3)。光合成に最適な温度の範囲が樹種によって異なるのは、自生する場所の気候にうまく適応した結果みたいです。


6. 
風は、気孔を通したCO2や水の出入りを通じて光合成に影響します。葉の周りの空気のCO2濃度は光合成をするうちに低くなりますが、風が全く吹かないとCO2の少ない空気が葉の周囲に溜まってしまい、充分な光合成ができなくなってしまいます。風で空気がかき回されることで、CO2の多い空気が常に葉の付近に供給できるのです。
このように風も光合成に必要な要員なのですが、風が強すぎると葉の内部の水分も急激に飛ばされてしまうため、気孔が閉じてかえって光合成ができなくなってしまいます。風の強い尾根や風衝地で樹木の生育が悪いのは、このあたりにも原因があるようです。


 このように光合成は様々な要因に影響を受けます。そのうちのどれか一つが欠けるだけで、他の条件がどんなに良くても光合成の能力は落ちてしまうんです。まだまだ一部しか分かっていませんが、植物と環境との関わり、なかなか複雑で面白いですね。


脱線



ご挨拶
19 「森の回廊」より(3)
18 「森の回廊」より(2)
17 「森の回廊」より(1
16 光合成(10)
15 光合成(9)
14 光合成(8)
13 春植物
12 樹が水を運ぶしくみ
11 蒸散
10 光合成(7)
9 光合成(6)
8 光合成(5)
7 光合成(4)
6 光合成(3)
5 光合成(2)
4 光合成(1)
3 植物の身の守りかた
2 アレロパシー(2)
1 アレロパシー(1)