こんにちは。Mr.さわぐるみです。
今回は光合成の季節変化日変化のお話です。

16.光合成(10)

7. 季節変化
 葉の光合成能力は、葉が開いてから落葉まで常に同じというわけではありません。
 春に美しかった新緑も最近はすっかり濃い緑に変わりましたが、新緑の時期の葉は、実はあまり光合成をしていません。新緑の色が淡いのは、(うぶ毛で覆われているなど別の理由の場合もありますが)緑色の葉緑素がまだ充分に出来ていないということでもあります(脱線1)。 いわば、器(葉の形)を先に作ってから中身(葉肉細胞・葉緑素)を充実させるまでにタイムラグがあり、その間は前年に蓄えた栄養に頼っているのです。
 雑草木が前年の貯蔵養分を使い込み、これから光合成で元を取り返そうという時期(6月中旬〜8月)に下草刈りをすると、草の成長に大きなダメージを与えることができます(脱線2)。 葉が開いて一月程で光合成能力はピークになり、その後少し下がるものの(さらに後から出来た葉に上を遮られてしまうせいもありますが、葉の酵素活性自体も老化とともに低下します)夏の間高い光合成能力を保ちつづけます。
 秋になると落葉樹の葉では葉緑素が全て分解され(紅葉)、光合成を行わなくなります。落葉しない常緑樹でも、気温の低下とともに光合成能力は低下します。

8. 日変化
 一日のうちで光合成速度の変化をみると、基本的にはほぼ光の強さに追随して変わります(朝光がさすと光合成が始まり、日中に最大になって、夕方暗くなるとまた小さくなります)。
 しかし、晴れて湿度の低い日や、土壌の水分が足りない時は、光合成の速さは朝9時〜10時ぐらいにピークになります。昼間や午後は充分な光があるにもかかわらず、水不足を和らげるため気孔を閉じてしまい、光合成があまりできなくなってしまいます(コラム10)。植物だって暑い日には「昼寝」がしたいようです。


 今回は光合成の季節変化、日変化の基本的なパターンについてお話しましたが、実はこれらの変化は樹種、樹齢、生育環境、条件などによって大きく左右されます。
 たとえば季節変化ですと、極端な例として春植物コラム13)のように一年の一時期にしか光合成を行わない植物もあります。
 また日変化でも、同じ木の樹冠の最上部の葉が「昼寝」していても、日陰になった下部の葉は活発に光合成を行います。さらに、暗い林床部に生える稚樹や低木の中には、一日のうちほんの僅かの時間しか光合成をしないものもあります(脱線3)。

 前回も書きましたが、このように光合成にはさまざまな要因が複雑に影響しています。地球温暖化対策として森林のCO2吸収量を評価する試みが盛んに行われていますが、それがいかに難しいかが良く分かりますね。
 森林を少しでもよく理解する努力はもちろん大切ですが、全て解明するまで待っていてはいつになるか解りません。たとえ分からない部分があっても最善と思える行動を(いつでも軌道修正できるように)起こすことの重要性を感じる次第です。


脱線



ご挨拶
19 「森の回廊」より(3)
18 「森の回廊」より(2)
17 「森の回廊」より(1)
16 光合成(10)
15 光合成(9)
14 光合成(8)
13 春植物
12 樹が水を運ぶしくみ
11 蒸散
10 光合成(7)
9 光合成(6)
8 光合成(5)
7 光合成(4)
6 光合成(3)
5 光合成(2)
4 光合成(1)
3 植物の身の守りかた
2 アレロパシー(2)
1 アレロパシー(1)