こんにちは。Mr.さわぐるみです。
すっかり御無沙汰してしまいました。

 先日(2003年11月3日)、塩尻市の長野県林業総合センターで行われた「第3回 『森林の回廊』公開フォーラム」を聞きに行ってきました。パネリストとして参加された水野さんもBBSに書き込んでいましたが、環境・生態系保全と林業について語った、ためになるイベントでした。

 今回からはその内容の一部を、簡単ですが筆者なりにご紹介させて頂きたいと思います。
   (※図表もフォーラム参加時に頂いた資料をもとに作ったものです)

17.「森林の回廊」フォーラムに参加して (1)

 藤森隆郎先生(日本林業技術協会)の講演 
 「環境・生態系保全と経済林業を巡って」(1)

1.林分の発達段階とそれに応じた機能の変化

 森林の機能は大きく「木材生産機能」(純生産量)と「環境保全的機能」(生物多様性、水土保全、炭素貯蔵量など)の二つのグループに分けられます。

 また、、森林は台風、火災、伐採などの影響をひんぱんにうけ、木が倒れて隙間ができるなど物理的に撹乱されています。撹乱された場所では稚樹が芽生え、大きくなって再び森を修復していきます(脱線1)。

 下図は撹乱を受けた森が修復する過程を表したモデルで、大きく分けて4つの発達段階(林分成立段階、若齢段階、成熟段階、老齢段階)に分けられるそうです。



1. 林分成立段階(〜15年)  ※年数はめやすで、樹種や条件によって異なります。
 撹乱によって高木がなくなり、地表面が明るくなって草本・稚樹が一斉に生え、激しく競争している段階です。天然林の場合は陽樹(脱線2)だけでなく、枯死木や倒木の日陰に老齢段階時の前生樹(陰樹)が生き残れるのでこの段階では種の多様性が大きくなります。
 林業(人工林)では、植え付け・下刈り・除伐が必要な段階です。

2. 若齢段階(15年〜50年)
  高木性の樹種が大きくなって上層の樹冠が強くうっ閉し、競争に負けた下層植生がなくなる段階です。樹木の成長が旺盛で木材生産には重要な段階ですが、環境保全的機能は最も低くなってしまいます。
 林業(人工林)では除伐・間伐が必要な段階で、間伐によって成熟段階の森を早く仕立てられます。

3. 成熟段階(50年〜150年)
 競争に勝った樹木が大きくなり、上層樹冠に隙間ができて(一本が大きくなる代わりに本数が減る)下層植生が発達する段階です。生産力は若齢段階よりも低下(コラム10)しますが、環境保全機能は回復して大きくなります。
 林業(人工林)では主伐(皆伐・択伐)の段階になります。皆伐すると林分成立段階に戻り、択伐すると成熟段階が続きます(二段林)。

4. 老齢段階(150年〜)
 競争に勝ち、優占していた高木が年齢とともに衰退して枯死木・倒木が生じる段階です。といっても老齢木ばかりの一斉林になるわけではなく、枯死木や倒木でできた隙間には再び稚樹が生え、大径木から小径木、稚樹まで様々な樹木が生え、階層構造が複雑になります。
(老齢段階の森の中には林分成立・若齢・成熟・老齢の全ての森がパッチ状に分布しているともいえます)
 林業(人工林)では大径木が枯死するまで放置する事は普通ない(脱線3)ので、この段階は天然林のみの特徴になっています(環境保全機能は最も高くなりますが、衰退した老齢木は災害、病虫害による枯死の危険が大きく、木材生産にとっては不利です)。


 下の表は森が修復する過程で二つの機能がどのように変化するかをまとめたものですが、二つの機能は相反する関係にある事がよく分かります(「木材生産の利益を追及しようとすれば、おのずと環境も守られるようになる」というこれまでの予定調和論は、どうも無理があるみたいです)。



続きは次回にお話します。

脱線



ご挨拶
19 森の回廊」より(3)
18 森の回廊」より(2)
17 「森の回廊」より(1)
16 光合成(10)
15 光合成(9)
14 光合成(8)
13 春植物
12 樹が水を運ぶしくみ
11 蒸散
10 光合成(7)
9 光合成(6)
8 光合成(5)
7 光合成(4)
6 光合成(3)
5 光合成(2)
4 光合成(1)
3 植物の身の守りかた
2 アレロパシー(2)
1 アレロパシー(1)