脱線1 浸透圧

 水と濃い砂糖水を容器の中で混ぜた場合を考えてみます。混ぜた直後は砂糖分子と水分子が偏って存在していますが、砂糖水の中では砂糖分子も水分子も上下左右に自由に動き回りますから、やがて混ざり合って同じ濃さになります。
 言い換えますと、濃さの違う2つの溶液を混ぜると、砂糖(溶質)は濃い溶液から薄い溶液へ、逆に水は薄い方から濃い方へと動く力が働くわけです。




 しかし、水と砂糖水が半透膜で別々の部屋に仕切られた場合は、同じ濃さに混ざろうとしても砂糖分子は水の部屋に入れないため、水分子だけが砂糖水の部屋に動きます。このため、砂糖水の部屋の液量は水だけの部屋よりも増えます。言い換えれば、重力に逆らってでも水が移動しようとする圧力が働くのです。





このように、水が半透膜を通して移動する力を浸透圧といいます。また、細胞が水をひきつける力として水ポテンシャルと呼ばれることもあります。


脱線2

 ちなみに、海岸や砂漠など塩分の濃い場所で植物が育ちにくいのは、植物の細胞液よりも周囲の濃度が濃くなって水を吸収できないことが大きな要因となっています。

(海水でも育つマングローブなどの特殊な植物は、自分の細胞液をさらに濃く調節して海水を吸収したり、余分な塩分を塩類腺と呼ばれる器官で積極的に排出するなどの方法で身を守っているそうです)


脱線3 凝集力

 水の分子は、お互いにくっつき合おうとする性質があります。この力を凝集力といいますが、水玉が丸いまま転がったり、コップの水面が盛り上がってこぼれない表面張力がその例です。
 また、ポンプで水を吸い上げる場合を考えてみます。管に空気の入った状態では、どんなに強力なポンプで吸引しても空気の部分が真空になるだけで10m程度しか水を吸い上げられません。しかし、「呼び水」をいれて管に水を満たした状態にすると、水柱が切れない凝集力のおかげで何十mでも水を吸い上げることができます。
道管の中も水で満たされています。しかも管が細いため気泡が入りにくく、無傷であれば450m以上持ち上げても水柱が切れないそうです(世界最大のセコイアでも、樹高は110m程度)。



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