寺子屋GWスペシャルエディションにご参加の植木屋さんから、
いかにも植木屋さんらしい感想文?を送っていただきました。
長いんで、無理に!とは申しませんが、
最後までお付き合いいただけましたら幸いです。



 ホルミシス効果を満喫した谷野は、マツダのボンゴに乗り東名高速を走らせた。渋滞が激しく、水野雅夫が手配をしてくれた宿のチェックイン時刻に間に合いそうになかった。 何とかチェックイン時刻を延してもらい、間に合わないかもしれないが「諸行無常」と呟いた谷野は、やっと消えた渋滞の高速でボンゴのアクセルをベタ踏みした。宿泊代は安く、ガソリン代が高い。

これからの宿となる浄土宗のお寺に、遅くの到着を詫びながら深夜にチェックインする。部屋にはテレビと仏教聖典しかないが、至って快適だ。谷野は仏教聖典を手に取りページを開く。 ちょうど《煩悩》についての章をひらいてしまう。〔愛欲は捨てよ〕とあるが、「欲とリビドーがあるから、人間は進歩するのではないか? アガペーか・・・?」と、谷野は一人で苦笑した。



翌朝、一日目。 久しぶりに水野雅夫に会った谷野は嬉しかった。戯言を交わしてから講義を受ける。和歌山の寺捕氏と共にスティールMS200を取り出す。ガイドバーは純正30cmで刃はオレゴン社製。まず、細かいメンテナンスやグーフィによる研ぎなど色々なことを学ぶ。 また忘れていたロープワークを教わった。改めてやはり勉強になる。チェーンソーの刃の研ぎは、鋸の目立てに似ていると谷野は思った。

 講習の後、寺捕氏と温泉に入った後、「カツヤ」で豚カツを食べた。なかなか美味い。宿に戻り仏教聖典を読みつつ、川のせせらぎを耳にするうちに谷野は眠りに堕ちた。



二日目。樹無羅さんも迎え山に登ってから、谷野は水平感覚を訓練する〔NASA〕の洗礼を受けた。これは難しいし、良い指標になるであろう。太極拳の基本が出来ていないとクリアできない訓練である。(帰京後、太極拳の師範代にやってもらったが25cmを簡単にこなせた)

その後、繰り返し正確な受け口・追い口のやり方を教わりながらペェッエル社製のマイクロプーリーを利用し、マーベルのプラロックを使う実践伐倒訓練を行う。今更であるが、「なぜ水平に切らなければいけないか?」が解り、そして谷野は自分のチェーンソー使用技術の欠点を低く罵った。

休憩中に質問事項と談笑を交え、水分をとりながら谷野はキャメル・メンソールに火をつけニコチンを補給する。低濃度の放射線よりも体に悪いと思いつつ・・・。休憩中の話で、「伐採木の切り口で、伐採者の技術がバレる」とのことに軽い驚きを覚えた。山林の伐採では、リヤハンドルが安全で有利なことが今回は良く分かった。谷野は業務の事情から、今までトップハンドルしか使用していなかったから山林の水平伐採では悪いクセが出る。また、都会での作業が多いため、山林での水平感覚が全く分からなかった。

 今日の講習を終え下山すると、水野雅夫の顔にも疲労が濃かった。温泉の後、郡上の城下で飛騨牛の夕食を堪能する。そしてやっと原発のことは忘れつつも、枕元にランドールのシースナイフとブラックダイヤモンドのヘッドランプを置き、睡魔に襲われた谷野は眠りについた。



三日目。

4人で山に入り、水野雅夫の指導を受けながら寺捕氏と交代で実践間伐を行う。伐倒した樹木の枝払いも難しいことを知る谷野だった。チェーンソーを倒した木に乗せつつ流れるように動かすのだが、ついつい手先で動かしたり、またナンバの動作ができていない谷野だった。寺捕氏と谷野は作業のチェックポイントが違うが、熱心に指導してくれる水野雅夫である。とにかく実践し、「今の作業で汝は6回死んだ・・・」と注意を受ける。

 昼食にコンビニおにぎりを食らってから、訓練を再開する。枯木の伐採は危険であり、よく状況を踏まえないと死に直結するらしい。〔倒れた〕と〔倒した〕は、確かに違う。低い位置で切った時の、蹴りの入れ方も参考になった。(座り込んで蹴りを入れると、退避が遅くなり危険である)そして短いロープを使い、対象物を倒す方法も教わる。



 三時の休憩を向かえ、水分補給をする。「段木さんのジョークは面白い」などと、森林の話と共にひとしきり笑い話もする。その後、矢(クサビ)の使い方を習うが正確な切込みが出来ていないと使用できないようだ。作業中にも下らないジョークを飛ばす谷野に、水野雅夫は「言葉を返す気にもならん」と呆れられる・・・・。また、倒してある木の安全な処理の仕方も教わる。とにかく、中身の濃い3日間であった。



 今回、確実に分かったことは《体幹そして体の後ろ荷重》がしっかりしていないと、あるレベルからの上達はありえないであろうということ。





郡上八幡のICから高速に乗り、東を目指してゆっくりとボンゴを走らせ帰途につく。バックミラーに閃光が映ったが、もんじゅの爆発ではあるまい。恐らく疲れた目が、後続車のヘッドランプを見誤ったせいかもしれない。車の窓から吹き込む風が心地地良かった。