2月に開催された長野県林業大学校有志6名による研修会。
かじかむ手で奮闘したロープワーク、
大雪の名残で、膝近くまで雪に埋もれながらの間伐と、
4月からの林業人としての新生活を意識した、
充実の3日間でした。
今回も感想文をいただいたので、お読みください。





 要旨
 都会で育った私だが、なにを思ったか長野県の林業大学校に入ってしまった。林大での2年間を終え、最後に復習がしたいと思い、水野さんの研修を受けたが、今にして思えば気まぐれであった。しかし研修を終えてみれば、2年間の中でも特に充実した3日間だった。「安全教育の必要性と優位性」を核に、実習ではチェンソーの扱い方やロープワークなど、より現場に即した林業技術を教えていただいた。他にも切り捨て間伐の意義やヘリ集材の可能性、ドラえもんの隠された秘密など様々なコトを教えていただいた。けれども一番は、林業の第一線で闘っておられる水野さんに出逢えたコト、その人柄や考え方に触れるコトができた時間が何よりの収穫だったように思う。

* 林業と安全
センブン ノ ロクジュウ(60/1000)今回の講義はこの数字から始まった。なんの数字かと言うと、林業職における労災保険料率である。分子が大きいほど保険料が高く、林業の60という数字は現在の職業の中で最高値であり、一般的な会社員に比べると20倍である。この差が林業における労働災害の現状を如実に表している。原因の一つは「山仕事に危険は付きもの」という認識と、地域ごとの林業技術の差異によって、安全教育自体が軽んじられ、蔑ろにされてきた背景にある。

* 2つの生命線
現在、高齢化が進む林業界だが、一方で若者の新規就業が増加しているという傾向もある。これらの若い人材を育成するコトは、成熟しつつある人工林を適正に整備・活用するコトと、同等あるいはそれ以上に、現在の緊迫した日本・林業・山村にとって重要な生命線となる。故に、これから日本の林業が生き残っていく第一条件は、従事する若者を死なせないコトである。自分のことを棚に上げて言うのもなんだが、都会生活で危機認識能力に欠けた若者に、本当に危ないモノがなんなのかわからせる必要がある。そのためには今いちど林業技術を分析し、再確立する、その知見を全国で統一して教育していく必要がある。言うは易し。

* プロフェッショナル
『林業では一回の失敗も許されない』
『例え99本を理想通りに倒せたとしても、100本目で大失敗したら台無しになる』
『伐木集材は「不安定な環境で、安定している長大な重量物を不安定にすること」の繰り返し』 
研修を通して印象に残った言葉である。コッチは不安定にしようとするのに対し、アッチは常に安定しようと動く。大失敗を避けるには、その動きを常にコントロール下に置く必要がある。また周囲から如何に多くの情報をキャッチし、何が起こるかを察知することも重要な能力である。どんな条件でも、それに応じて常に同じ技術・能力を発揮できるのがプロである。

* 林業技術のいろは(・・・)
伐倒技術の基本は『作業者の立ち方』と『伐倒方向に垂直に伐れるように、且つガイドバーを水平にするためのチェンソーの構え方』にある。自分の一挙手一投足をどれだけ体系づけるコトができるかで、その人の「常に発揮できる能力」や「ここぞというときに発揮できる能力の上限」が左右される。常にスーパーサイヤ人でいたら、スーパーサイヤ人2になりやすいといった風に。伐倒を突き詰めると、受け口の斜め切りを水平面に対し㎜単位で若干伐りこむという、実に繊細なところにまで及ぶ。目立てにロープワーク、その他もろもろを含めると林業技術は奥が深い。先輩に追いつこうと思ったら生半可な努力じゃ足りない。ルーキーは、技術の習得にどれだけ真摯に向き合えるかを常に問われている。

* 安全と林業
係り木の処理、時間も労力も掛かるから仕方なく元玉を伐る。安全と経営も合理化は相反する。と思っていたが、そもそも一度の死亡災害で会社は潰れる、大前提として安全がなければ経営はできない。また、安全が利益を生むことはある。労災にはメリット制度というものがあり、災害が多い事業体の保険料は増え、少ない事業体は減る、自動車保険と同じ仕組みである。つまり事故を減らせば経営は助かるというコトだ。目先の取り組みとしては、目立てを徹底させることで、作業者の労働強度を下げつつ、生産性を上げるコトが挙げられる。路網開設や機械化で省コスト化を図る前に安全で効率的な林内作業を見なおす方がより健全で、賢明である。『人』を生かしてこその『業』である。

* 林業人のメンタリティ
林業というのは一次産品を生産している。地域性が強い上に、輸入品は安く、潜在能力はあれど日本の技術力でも及ばない分野。中でも木材は重くてデカくて安い、残念ながら現代経済のメガネにはかなわない。そこで短絡的だが、TOYOTAではなくフェラーリを目指そう。壮絶に儲けることはできないが、誇りある仕事。誇りとは、自分のアイデンティティーであり、自分という人間のかなめ(・・・)である。普通に考えれば誰にでもできるコトかもしれない、でも誰もやりたがらない、あるいはやらなかったコトで、それは誰かがやらなくてはならないコトだった。それに身を捧げ、自分にしかできないトコロにまで昇華させたのが私だ。背筋を伸ばして、そう言える仕事なり人生を、夢みるのも良いかもしれない。ただし高慢や見栄と隣り合わせなのが難点で、胸に秘めとく位が丁度いいのだろう。

* 希望的観測
今はなんといってもエコブーム。このブームはTOYOTAが年月かけて作り出したモノ。こんな風にユーザーを育てることができれば、一次産業の逆転もあり得るかもしれない。林業としては国民に森林の持つ公益的機能を理解してもらうコト、山林所有者には持てる者には権利ではなく義務があるという考え方を持ってもらうコトができれば… 。 最近のCMにWWFとACがコラボしたものがある。このCMには「子供たちに、もっと ちゃんとした 地球を引き継ごう」というメッセージが込められている。今を生きている私たちに一番必要なのは、私たちの世界は次世代からの借り物の世界であるコトを強く意識することだと思う。

すみませんでした。ありがとうございました。

                     (S.M.君 長野県林業大学校2年)




3日間という短い間でしたが、色々勉強させられることが多かったです。
最初の座学で、林業の危険と安全について学び、林業とはいかに労働災害が起こっているのか、また、林業の場合、労災の掛け金が、他産業と比べてみてもダントツに高いことが分かりました。
本当に林業は、命に関わる仕事をしていると思い、それだからこそ失敗してはいけないんだと思いました。
造林の知識は、ただ単に教科書の内容を覚えていただけと、痛感しました。
樹幹長率が3割以上残っていれば、肥大成長はする。助けられる所は助けるという言葉にその通りだなと思いました。材の価値が上がるまでは、伐捨間伐を繰り返し、それから搬出に持っていく。これが正しいやり方なのではないかと思いました。
実際に山に入って、選木作業した際に今の段階でha当たり何本あるのか?どの木がどれくらい枝に接触しているか?将来残していく木はどれなのか?を考えながらやってみて、今までの確認作業という感じでした。
また、これから現場で働く身として、完璧に受け口、追い口をマスターしなければ、安全に作業が出来ないことが身を持って分かりました。
効率的に作業していくには、まず一つ一つの作業を丁寧にしていくことが重要。その中で、様々な状況判断をしなければ、災害に繋がり、命に関わることになってしまう。
常に安全を念頭に置いて、現場に入っていきたいと思います。
ロープワークを忘れずに、安全作業を志して。
3日間、ありがとうございました。           

                     (Y.U.君 長野県林業大学校2年)




今回、3日間でロープワークや伐倒について研修させていただきました。
ロープワークでは、重い道具を使わずに、かかり木の処理を行うことができ、
2本のロープを使うことで伸ばして使うことで距離を伸ばすことができます。
NASAでは、自分の伐倒のフォームができておらず
自分が伐りやすい姿勢を見つけていきたいです。
伐倒では、伐る以前に様々な危険を発見し怪我を防ぐことが重要だと感じました。
実際に伐ってみると受け口がガタガタしており直していきたいです。
この3日間を通して正確な作業が仕事スピードを上げることにつながると感じたため
4月からは丁寧に仕事をしていきたいです。
水野さん、3日間ロープワークや伐倒を教えていただきありがとうございました。
                                

                     (K.K.君 長野県林業大学校2年)




研修会ではお世話になりました。
3日間と短い期間でしたが、学べることが多くあり勉強になりました。
私はまだ現場で仕事をしているわけではないので、比較の対象が少なく研修で疑問を感じることが少なかったです。
会社の仕事を一通り覚え比較の土俵を築いてから、もう一度研修を受けてみようと思っています。                        

                     (Y.K.君 長野県林業大学校2年)