岐阜県立森林文化アカデミー1年生5名による「うぶ寺」
予定の6回を終了しました。
伐倒未経験で
身体能力が抜きん出てる訳でもなく、
特に若くもなく、
それでも、
どうにかこうにか単独での伐倒まで漕ぎ着けたのは、
彼らの「学ぶ力」故だと思う。
「学ぶ意欲」や「学ぶ準備」の前に、
人によって「学ぶ力」が違うのであれば、
その違いに応じた指導が必要となる。
教える側として、
一つ新しい視点に気づかせてもらった。
だから研修会は止められない!

感想文ファイナルシリーズです。
どうぞ!


(1)造材
 率直な感想として、実に奥が深い。普段ベテランの方の伐倒木の枝払い、玉切りを見ていますが、その作業の中で瞬時に実に様々な判断がなされ、材の品質、安全を確保しながら、適切かつ効率的に行われているのだとわかりました。私はこれまで現場で枝払いをすることが多くありましたが、見様見真似でやっているため、スピードが遅い、無駄な動きが多い、すぐ疲れる、よくチェーンソーが挟まれる、切削面が雑など、多くの疑問を持っていました。今回の講習を受け、なぜそうなっていたのかがわかりました。引張りと圧縮の見極め、チェーンソーの動かし方、身のこなし方、安全配慮などポイントを教えていただいたので、実戦を通して、磨きをかけていきます。
水野さんが造材は伐倒以上に難しいとおっしゃっていましたが、その通りだと思います。その点では今回の研修日数は少なかったのでしょう。数日かけてでもマスターしたい内容です。

(2)伐木トライアル
 学んだことを丁寧に実践しようとするあまり、配慮に欠けていた点が、「簡単、短時間、安全にできるなら、まずはそれを試す」という点です。伐倒の現場ではひとつとして同じ状況はなく、最初の判断の通りに事が運ぶ保証はありません。ひとつひとつの作業を丁寧にやった上で、早めの行動により選択肢を絞りながら、方向性を柔軟にかえていくことが重要であることを学びました。
自分の伐倒の反省点は以下の通りです。

① 受け口の方法が狙いに対して山側に寄りすぎ、何度も伐り直すことになってしまい、
 結果として受け口が深くなりすぎた(今回の研修で3回伐倒していますが、
 いずれも山側に寄っており、伐り直しで受け口が深くなりすぎていました)
② 慎重になりすぎて追い口が浅かったため、ツルが厚すぎて、ロープを引くときに苦労した。
③ ダメだと思ったらすぐに次の方法を試すべきだったが、判断が遅れたため、
 時間と体力を消耗した。
④ あやうくかかり木の下を通るところだった。
⑤ ロープの設置は今回の講習の中で最もスムーズにできた
 (前回は木に登らずに11分だったが、今回は木に登って10分)。
⑥ 伐倒方向は狙った方向に行った。
⑦ 作業の終わり=ゴールと考えてしまい、終了時点では体力がほとんどなくなってしまった。
 万が一、最後に予期せぬ事態が起きていたとしたら、
 瞬時に危険回避できなかったかもしれない。

(3)まとめ
 私は前職で研修の企画・運営・講師などを担当することが多くありました。これまで業種は違えど、多くの研修を企画・運営したり、逆に受講する機会がありましたが、その中でも最も楽しく学ぶことができたと思います。これは決してふざけていたとかではなく、常に飽きさせないカリキュラムの構成と水野さんの熱意あふれる指導に、いつの間にか引き込まれていたということではないかと思います。山本五十六の「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」を彷彿とさせる指導であったと思います。講師として学ぶべき点が多くありました。
林業という厳しい業界に携わるためには、第一に優先しなければならないのは自分と仲間の命です。何気ない作業が命取りになりかねないため、あらゆる状況を見極め、常に安全に配慮しなければなりません。今回の講習ではこの点について心に響いてきました。

今後もしフォローアップ研修などの機会があれば、一回り成長した姿を見せたいと思います。
今回は6日間ありがとうございました。

                 (森林文化アカデミー1年生 K.E.さん)




研修最終日は、選木された木をどの方向に倒すのか、必要に応じロープワークも含め全て自分一人で考え、30分という時間制限の中で伐倒することが課題として出されました。
今までの講習を振り返りながら自分がどこまでできるのか挑戦です。
全て一人で行うということは、責任を一手に負うということでもあります。自分が起こした行動一つ一つが自分に跳ね返ってくる。良いことも危険なことも。
このことを常に頭に置いておく必要があります。
また、段取り八分という言葉がありますが、その事を痛感しました。ごく一般の仕事でも同じことが言えますが、林業の現場では無駄な動きと負担のかかる作業を少なくする意味においては非常に重要なポイントと言えます。

今回の私の伐倒作業を振り返ると、ロープを持たずに木に登ってしまい、取りに行く手間が増えたことは時間と労力の無駄に繋がりました。その上、ロープを折返す木・最後に固定する木に巻きつける時間が多くかかり、持ち時間の3分の2以上を費やしていました。
また伐倒の際、受け口で定めた方向(等高線上)に倒すことが出来なかったことは悔しい結果となりました。原因として、受け口自体の方向が谷寄りであったこと・谷側のつる幅が大きかったこと・追い口の高さが谷側に向かって斜めに高くなったこと(下駄が高い)が挙げられます。また、伐倒木の重心が倒す方向から90度以上の位置になっていたと思われ伐倒方向を重心寄りの反対側に定めた方が良かったのではと感じました。

段取りや作業の効率と安全性に気を配り、一つ一つ気を抜かないこと。そう考えると林業の現場は肉体労働だけでなく頭脳労働でもあり、「気」を使う労働でもあるのではないでしょうか。
最後に水野さんから「君たちは伐倒ができるようになったわけではなく、伐倒したことがあるというレベルだということを忘れないように。」
とのお言葉を頂きました。
今回の6回の講習の中で学んだこと、吸収したこと全てが今後に繫がっていく自分の財産になったことは非常に嬉しいことです。その機会を与えて下さった水野さんに感謝します。
6日間、本当にありがとうございました。

                 (森林文化アカデミー1年生 R.K.さん)



 いよいよ、うぶ寺も最終回です。あっという間の全6回でした。
 今回は、ロープワークの復習と、枝はらい・玉切り、そして本講習の集大成となる伐木をすべて一人で行うという内容でした。
 林業は、大胆さと繊細さの両方の側面があると思います。
 本講習会の第1回目に感じたことは、“林業の大胆さ”です。「この山に、木が何本あるか」、「木1本の樹高は?」、「間伐は、どのくらい?」(←補助金を受けるための間伐ではなく優良木を育てるための間伐)など、数値として目安はあるものの現地での判断が多く、細かい数値よりも大胆さが求められる業界だなと思いました。
 今回の特に枝はらい・玉切り(あくまでさわりの部分だけですが)を習ったときに感じたのは、繊細さです。素材生産者の立場からするとこの枝はらい・玉切りは、商品としての最終段階になるのかなと思います。この作業を失敗(へたくそだと)すると、商品としての価値が下がり、さらには林業技術者としての力量もみられてしまうということだと。
 幹を傷つけてしまうような枝はらいだったり、少しでも段差が残ってしまうような玉切りだったり、スピードが求められる中で重いチェンソーと足場の悪い場所での作業、さらには、作業対象の木に応力(力学)までも瞬時に判断しなければならない難しさ。ほんとうに、繊細な作業が要求されることがわかりました。
作業中、そして作業後は、頭の中はパンク状態、身体は疲弊しきってしまいました。
 林業は、誰でもできる作業ではないと実感し、だから面白いんだ!やりがいってこういうことだ!と思いました。
 本講習会の集大成、ひとりで伐木を経験しました。
 1本1本木には癖(同じ木は2本ない)があることから、常に確認、常に判断し続けないといけないことを実感しました。
 タイムトライアルで競争したため、達成感よりは悔しさが残った結果となりましたが、“安全に伐木”できたことは、ひとつ自信になりました。(25分27秒の記録は、ずっと忘れないと思います。)
最後に、講師の水野さんの言葉
「この講習を終わったからといって、木が切れると思わないこと。木を切ったことがあるくらいだよ」との言葉に、身が締まる思いがしました。

                 (森林文化アカデミー1年 I.I.さん)